abstract
背景:移植非適応の再発難治例のDLBCLは予後不良であり、治療選択肢もほとんどなかった。tafasitamabはFcエンハンスしたヒト抗CD19モノクローナル抗体であり、再発難治のDLBCLにpreclinicalで活性を示していた。今回我々は移植非適応の再発難治DLBCL患者に対して、tafasitamab+レナリドミドの抗腫瘍効果と安全性を調べた。
方法:多施設、オープンラベル、シングルアーム、phase2試験を行った。対象は18歳以上で、過去に少なくとも一つの抗CD20抗体を含むレジメンで1~3回の治療後に再発した症例を対象とした。なお、high dose chemotherapyや自家末梢血幹細胞移植は対象外とし、PSは0-2とした。患者は静脈からtafasitamab(12mg/Kg)と経口でレナリドミド(25mg/day)を同時投与し、28日ごとに12サイクル続けた。病変がstable、あるいはbetterの患者に対してはtafasitamab単剤投与を進行するまで行った。プライマリーエンドポイントはOSとした。
結果:2016年から2017年で156人がスクリーニングされた。81人はどちらかの薬剤の投与を受け、80人は少なくとも一度のtafasitamab+レナリドミドの投与を受けた。median follow-upは13.2カ月で、tafasitamab+レナリドミドの投与を受けた80人のうち48人(60%)がORであった(34人がCR、14人がPR)。グレード3以上の治療関連有害事象で多かったものは好中球減少、血小板減少、FN、であった。重篤な副作用は81人中41人でみられた。頻度の高いものとしては、肺炎(5人)、FN(5人)、肺塞栓(3人)、気管支炎(2人)、AF(2人)、心不全(2人)であった。
結論:tafasitamab+レナリドミドは移植非適応の再発難治DLBCL患者において、効果があり、新たな治療選択肢になりえるかもしれない。
背景
DLBCLは非ホジキンリンパ腫の中で最も多いサブタイプである。2006年にリツキシマブが治療に出てから、およそ50%-70%の患者が初回治療で無病の長期生存を得得られている。しかしながら初回治療で再発、あるいは難治例の患者の予後は不良である。高用量の化学療法や幹細胞移植による救援化学療法はほとんど利益がない。その上ほとんどの患者が治療までたどりつかず、治療選択はほとんどない。
治療はここ3年の間に進歩し、たとえばCAR-Tやpolatuzumab vedotinが患者の治療成績を向上させている。これらの薬剤が開発されているが、とくに移植非適応の再発難治のDLBCL患者において効果の高い治療選択が必要である。
CD19はB細胞腫瘍にひろく発現している。過去のCD19の直接の抗体は、活性が少なく副作用があったため成功しなかった。tafasitamabはFcをエンハンスさせた、ヒト化抗CD19モノクローナル抗体である。
再発難治DLBCLに対するtafasitamab+lenalidomideのPhase2試験。移植不適応の患者を対象に施行。年齢中央値は72歳。Objective responseは60%。