Summary
この研究は、再発難治の節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)の患者において、抗PD-L1抗体であるアベルマブの治療効果について調べたものである。
このフェーズ2試験では、21人の再発難治のENKTLの患者に対して10㎎/Kgのアベルマブをday1とday15に投与し、28日サイクルで治療をおこなった。プライマリーエンドポイントはCR率である。
腫瘍組織のターゲットシーケンス解析と免疫組織化学染色は治療開始前に行い、またサイトカインと溶解可能なプログラムされたPD1、PD-L1、PD-L2の細胞死の測定のために、治療前後に血液サンプルを採取した。
CR率は24%(21人中5人)、ORRは38%(21人中8人)であった。
治療不応だった患者は早期の増悪を認めたが、5人のresponderに関しては現在も治療を継続できており、奏功を維持している。
治療関連有害事象の多くはGrade1~2であった。Grade4の副作用は観察されなかった。
治療の奏功については遺伝子変異とは相関がなく、またサイトカイン量や、溶解PD1・PD-L1・PD-L2とも相関はなかった。
しかしながら、アベルマブの奏功に関しては腫瘍のPD-L1発現と強い相関を認めた(P=.001)
したがって、すべてのCRに達した患者では高いPD-L1発現をもち、PD-L1発現をもとにした腫瘍のサブタイプと治療奏効率は相関があった。
まとめとしては、アベルマブは再発難治のENKTLの一部に対して活性を示した。腫瘍細胞のPD-L1発現が、アベルマブに対するresponderを特定する助けになりうる。
アベルマブはPD-L1発現の再発難治ENKTLに奏功するかもしれない